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書籍番号 76049
書   名 浙 江 漢 墓
シリーズ
データ A4 407頁  図版135頁 (精装)
ISBN/ISSN 978-7-501047604
編著者 浙江省文物考古研究所編 胡継根主編
出版年 2016年9月 
出版者 文物出版社
価格(本体) 21,000円

浙江省における前・後漢時期の古墳は、その分布範囲も広く、これまで
各地で発見された古墳は千基を超え、700基以上の古墳発掘資料が
すでに公表されています。
 前期古墳は、高温の釉陶器を副葬品とする「竪穴土坑墓」であり、後期
古墳は、青磁器を副葬品とした「土壙券頂磚室」を特徴としています。
浙江における漢代古墳の発掘の軌跡を明らかにすることは、当該地域の
漢代葬祭儀礼とその観念、及び浙江先住民文化から漢代文化への融合
過程とその秩序を理解するうえで重要であると考えられます。 東海に面
する浙江省は、古越族という先住民の生息地であり、越国が楚国に併呑
されるのに伴い、楚文化が越地に大量に流入してきました。
漢代に入ると漢文化はさらに南部を席巻し、両漢時期には、浙江は越、楚、
漢の三つの文化の共同体として、古墳の形式及び内包は多様化しました。
最近、60年余りの考古調査及び発掘成果に基づき、古墳の形式と副葬品
の種類を手がかりに、浙江における漢代古墳に関する総合的研究が徐々
に展開されてきています。
 本書では、浙江における漢代古墳を、「土坑木棺墓」、「土坑棺椁墓」、
「土壙券頂磚室」の三種類に分類し、それらの副葬品の特徴や年代区別、
文化要索、地域性などについて全而的に考察したものです。その結果、
この地域は「越」、「楚」「漢」文化の影響で、前漢早期には楚文化が濃く、
後期から王葬時代にかけては、漢文化の南下に伴い楚文化、越文化が
衰え、多元的な文化要素が併存する様子を呈しており、後漢は漢文化の
急速的な進出に伴って浙江における漢代古墳の発展過程が、長江下流域
に位置する江蘇、安徽、上海などに見られる中・小型古墳とほぽ一致する
など、すでに「漢文化系統」に融合していったと考られます。
(本書日文提要より抽出・編集)