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書籍番号 76752
書  名 「元典章」が語ること―元代法令集の諸相― 
シリーズ
データ A5 358頁 (精装)
ISBN/ISSN 978-4-87259-589-5
編著 高橋文治編/谷口高志,赤木崇敏,山本明志,藤原祐子,伊藤一馬著
出版年 2017年3月 
出版者 大阪大学出版社
価格(本体) 4,500円

【内容紹介】

元朝期の民間で出版された官吏のマニュアルを模した法令集『元典章』
は、モンゴル時代史や文化史、中国法制史を構築する上で極めて重要
な史料でありながら、専門家の間でも難解とされてきた。中国文学研究
者と東洋史研究者が協力して当時の翻訳体漢語文を解析し、時代状況や
文化背景も含めて解説することで、征服王朝「元」の知られざる姿を
明らかにする。 

 【目次】

はじめに

第一部 異形のことばたち

 第一章 律令と典章―『元典章』はいかに編まれたか―
   一 なぜ典章なのか
   二 新集の刊記
   三 律令と格例
   四 奉使宣撫をめぐって
   五 中書省の箚付が語ること

 第二章 カアンのことばが翻訳されるまで
     ―《盗賊が投降した際の使用人たちを良人とすること》―
   一 奇妙な文体〈直訳体〉
   二 朝会の模様
   三 翻訳の手順
   四 さまざまな訳者 さまざまなことば
 第三章 地方行政を仲介する文書たち
       ―《賭博に関する賞金のこと》―
   一 『元典章』と文書
   二 『元典章』文書の体系
   三 呈と申
   四 牒
   五 箚付
   六 照刷
   七 元代公文書の特性と今後の課題

第二部 政権と仲介者
 第一章 モンケの聖旨をめぐって
      ―《屠殺、狩猟、及び刑罰を禁じる日》―
   一 モンケと仏教
   二 モンケとカルマ= パクシ
   三 〈モンケの聖旨〉の本来のすがた
 第二章 カアンとムスリム
     ―《回回が喉を掻き切って羊を屠殺し、割礼をすることを
       禁じる》―
   一 本案件の理解をめぐって
   二 回回と〈本俗〉
   三 カアンはイスラーム教が嫌いだったのか
 第三章 ヒツジを消費する人たち
      ―《羊・馬・牛を抜き取る決まり》―
   一 ヒツジの怨み
   二 江南のヒツジ
   三 ヒツジにかかる税金
   四 城市に流れてくるヒツジ
 第四章 宣徽院の人びと
      ―《ニセの薬を販売することを禁じる》―
   一 ニセ薬とニセ医者
   二 造蓄厭魅
   三 ニセ薬を禁じる真意
   四 太医院使の実態
   五 宣徽院の職掌

第三部 地域と交易
 第一章 戸籍と〈本俗〉
     ―《弟・妹を兄は他家に養子に出してはならない》―
   一 〈斡脱〉と人身売買
   二 〈過房〉と〈乞養〉
   三 〈贅婿〉について
   四 〈収継〉について
   五 〈本俗〉について
 第二章 身売りと火事と駆け落ちと
     ―《借金の形に身売りする場合は、一年限りの契約書
       を作ること》―
   一 「典雇男女」という問題
   二 「碾玉観音」の身分関係― 郡王に属する人たち
   三 〈遺漏〉とかけおち
   四 江南の風俗への眼差し
 第三章 江南の顔役
      ―《職名をもたない位階官が役所を牛耳ること》―
   一 モンゴル時代江南社会の〈豪覇〉
   二 〈豪覇〉の手口
   三 『清明集』の世界―亡宋の旧弊―
   四 『元典章』の世界
 第四章 モンゴルのひとたちを売りさばく
       ―《人などを海外に輸出することを禁じる》―
   一 海外禁輸品の諸相
   二 売られていくモンゴル人
   三 〈ヒト〉を売買する
あとがき
語彙索引
引用文書資料表
著者紹介 

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