【内 容】
本書は,南北朝後半から、隋・唐・五代・宋にいたる,おおよそ700年間
の中国陶瓷史に関する考古学的研究である。この間、おのおのの時代に
おいて中心的位置を占めている陶瓷-南北朝の青瓷,隋代の白瓷の創出、
盛唐代では三彩陶の造形、ついで北宋代における越州窯と竜泉窯青瓷,
江南地域の景徳鎮窯の青白瓷など-、各時代の代表的な陶瓷に視点を
しぼり、この間の中国陶瓷史を叙述することが本書の目的である。
中国での窯跡・墳墓出土の膨大な資料を克明に資料化し、日本および
欧米の美術館資料を組み込み、わが国出土品との編年観の異同点を
明確にしている。わが国における中国陶瓷史研究が到達した本格的な
研究書である。
【目 次】
Ⅰ 南北朝青瓷の展開と白釉陶瓷の創造
1. 南北朝期貼花文青瓷の研究
2. 北朝-隋・初唐期罐,瓶の編年的研究
3. 武寧王陵随葬青瓷杯再考
4. 北朝・隋代における白釉,白瓷碗・杯の追跡
Ⅱ 隋唐白釉陶瓷の推移と三彩陶の形式
1. 隋唐期竜耳瓶の形式と年代
2. 隋唐期陶笵成形による陶瓷器
3. 隋唐水注・浄瓶・罐の形式と編年
4. 隋唐弁口瓶・鳳首瓶・銀瓶の形式と年代
5. 隋唐扁壺の系譜と形式
6. 三彩陶枕と筺形品の形式と用途
7. 隋・唐・奈良期における香炉の研究
8. 日本出土唐代鉛釉陶の研究
9. 渤海三彩陶の実像
Ⅲ 唐宋代青瓷の系譜と編年
1. 越州窯と竜泉窯-転換期の青瓷窯
2. 唐代玉璧高台の出現と消滅時期の考察
3. 唐代の「秘色」瓷の実像
4. 続・日本出土の越州窯陶瓷の諸問題
5. 竜泉窯青瓷創焼時期の具体像
6. 元豊三年銘青瓷をめぐる諸問題
7. 12世紀竜泉窯青瓷の映像
8. 北宋早期景徳鎮窯白瓷器の研究
9. 日本出土の吉州窯陶器について
10.中国東北部出土の陶瓷器
中国陶瓷史文献目録―東晋から宋代
挿図出典一覧
論文初出一覧