3世紀中頃から5世紀にかけての日本列島、とりわけ近畿地方を
中心に、渡来文化の受容と政治権力のかかわりを考察する。
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年間8000件近い日本国内の発掘調査と,2000年代以降急増した
韓国内における発掘調査成果は,いま,従来の古代国家形成過程
に更新を求めている.本書は,日本の国家形成期にあたる古墳
時代を対象に,この時代の土器の特質,日韓交流の展開,韓半島
から移住した渡来人の動向,そして古墳と集落にみる変化を基礎
に,渡来文化の受容が果たした歴史的役割を解明しようとする
考古学の専門書である.
【目次】
序 章 本書の目的と課題
1 本書の視座
2 本書における4つの論点
第1章 古墳時代土器にあらわれた時代的特質
1 古墳時代土器の構成
2 外来の土器と在来の土器
-生産と消費にみる両者の差異-
3 土器にみる文化の融合
-韓半島系土器の受容と生活文化の変容-
4 小結-土器にあらわれた異文化癒合―
第2章 3~5世紀における日韓交流の展開
1 問題の所在
2 4世紀における日韓交渉論の進展
3 対外交流の変化と「空白」の4世紀
4 [瓦<泉]の創出と5世紀の日韓交渉
5 小結-日韓交渉の展開とその背景
第3章 韓半島系渡来系集団と倭人社会
1 韓半島系渡来人の居住地
2 韓式系軟質土器の受容にみる集団関係
3 陶邑における韓式系軟質土器の変容過程
4 須恵器受容にみる渡来文化受容と在来社会
5 小結-渡来系集団の定着と在来集団
第4章 古墳時代中央政権の質的変化と生産組織
1 手工業生産遺跡をめぐる近年の研究動向
2 5世紀における手工業生産の展開
3 古市・百舌鳥古墳群の展開と初期群衆墳
4 小結-河内政権の権力基盤
終 章 日本古代国家形成論に関する理論的展望
1 東アジア情勢と倭人社会
2 日本古代国家の形成と対外戦略
参考文献 分析対象遺跡文献 挿図表出典 初出論文
あとがき 索引