【紹介】
弥生土器をはじめ考古資料の実証的な解析を経て、経済・儀礼
・階層化の相関から弥生社会構造の独自性を抽出。弥生時代から
古墳時代へと社会集団が変遷する過程を、集権化ではなく複雑化
と捉え、従来の説とは異なる新解釈を試みる。
【目次】
第1章 弥生地域社会構造論のこれまで
1.研究史をみる視点
2.戦前の弥生地域社会論
3.史的唯物論と弥生社会
4.地域によるアプローチの違い―1980年代以降―
5.弥生時代における地域社会構造論の方向性
第2章 近畿地方弥生土器の変化と年代
1.研究の推移
2.土器変化の実態
3.近畿地方土器様式変化の特質
4.土器様式変化と暦年代の問題
5.酸素同位体比年輪年代分析などとの相関
―八日市地方遺跡などの成果―
6.近畿弥生土器様式との対比と暦年代
第3章 近畿地方弥生土器の地域的様式差の形成
1.問題の設定
2.弥生土器櫛描文の発生と土器地域性
3.甕形土器地域色顕在化の構図
4.土器地域性成立のベクトル
第4章 地域的様式差の展開と構造
1.弥生時代中期中・後葉の土器地域性構造
2.様式差と地域社会
第5章 弥生時代の生産/消費システム
1.経済・物資交換への着目
2.石材・石器流通の2重構造
3.木製品の生産/消費
4.流通システムの重層性と変化
第6章 集落からみた弥生地域社会
1.近畿地方の弥生集落研究とその問題点
2.集団関係変遷のモデル―大阪平野を中心に―
3.弥生中期における基礎集団と複合型集落
(基礎集団クラスター)
4.基礎集団動態からみる弥生社会の性格
5.方形周溝墓と居住集団の関係
第7章 唐古・鍵遺跡の環濠と構造
―東西日本の諸大規模遺跡と比較して―
1.唐古・鍵遺跡の構造と変遷の研究
2.豆谷報告から復元できる構造変遷
3.唐古・鍵遺跡は特殊な弥生集落か
4.唐古・鍵遺跡を他の集落・集落群と比較する
第8章 弥生地域社会総論
―その理解のための理論的枠組み―
1.土器と物資交換と集落
2.弥生社会構造の理解と枠組み―総論として―
3.農業共同体論・首長制社会論をこえて
4.近畿中部弥生社会の特徴
第9章 集落と墳墓からみた古墳時代への社会変化
1.問題点の整理と分析方向―淀川水系を中心として―
2.淀川流域での集落の実態
3.木津川流域での変化
4.金属器製作関連の遺跡の状況
5.大阪平野中部での分析例と研究状況
6.弥生~古墳時代の遺跡変化および古墳時代社会の特質
結 語