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書籍番号 80581
書  名 二万余戸の実像 奴国
シリーズ (令和3年度 伊都国歴史博物館秋季特別展/伊都国から倭人伝の国々を探るシリーズⅣ)
データ A4 69頁
ISBN/ISSN
編著者 糸島市伊都国歴史博物館編集
出版年 2021年10月 
出版者 糸島市伊都国歴史博物館
価 格 1,000円(税込)

令和三年度の伊都国歴史博物館秋季特別展は、伊都国から倭人伝
の国々を探る シリーズの第4弾。今回は福岡平野にあったとされ
る「奴国」を取り上げます。奴国は『魏志倭人伝』に「(伊都国
より)東南の奴国まで百里。(中略)二万余戸がある。」と記さ
れた国で、これまでのシリーズ展で紹介してきた、對馬国(千余
戸)・一支国(三千許家)、末盧国(四千余戸)など倭人伝に
記された玄界灘沿岸の国々の中で、圧倒的な戸数を誇る大国です。
その領域は、現在の福岡市や春日市など福岡平野一帯、特に旧那
珂郡が国の中心域であったと考えられます。
 奴国の中心域には、稲作開始期の遺跡として有名な板付遺跡、
わが国最大の集落であった比恵・那珂遺跡群(福岡市)、そして
奴国の金属器・ガラス生産の拠点であり、王墓のある須玖遺跡群
(春日市)など、数多くの重要遺跡の存在が知られています。
この須玖遺跡群を中心に金属器やガラス製品等の鋳造をおこなった
工房跡が多く発見されており、弥生時代のわが国における青銅器
・ガラス生産の一大中心地であったことがわかっています。
また、須玖タカウタ遺跡では、日本最古級となる青銅器の土製鋳型
が発見されるなど、わが国の本格的な金属器生産もこの地ではじま
った可能性があります。さらには、『後漢書』倭伝にあるように、
奴国は57(建武中元2)年に後漢に朝貢し印綬を賜っており、伊都
国と同様に弥生時代の倭国全体の外交などにおいて中心的な役割
を果たしていた国でもありました。本展は、こうした奴国の遺跡
から出土した考古資料の展示をとおして、倭人伝に「二万余戸」
と記された大国の実像に迫ります。

主な展示品
須玖岡本遺跡出土中広形銅矛(春日市指定文化財)
須玖岡本遺跡(坂本地区)出土石製鋳型(春日市指定文化財)
須玖タカウタ遺跡出土青銅器生産関連遺物(春日市指定文化財)
吉武樋渡遺跡出土品(国指定重要文化財)
門田遺跡出土鍛造鉄戈(福岡県指定文化財)
上月隈遺跡出土中細形銅剣(福岡市指定文化財)
須玖岡本王墓(D地点)出土ガラス勾玉
須玖岡本王墓(D地点)出土星雲文鏡片
唐泊出土広形銅矛(福岡市指定文化財)
九州大学筑紫地区遺跡出土巴形銅器鋳型