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書籍番号 |
81056 |
書 名 |
金鈴塚古墳と古墳時代社会の終焉 |
シリーズ |
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データ |
B5 本文265頁 カラー図版4頁 |
ISBN/ISSN |
978-4864451604 |
編 著 者 |
上野祥史編 |
出 版 年 |
2022年3月 |
出 版 者 |
六一書房 |
価 格 |
4,400円(税込) |
【内容】
木更津市教育委員会と国立歴史民俗博物館が3期9年にわたり
進めてきた共同事業は、今日的な視点で金鈴塚古墳出土資料
を整理検討し、金鈴塚古墳を古墳時代研究のなかに改めて
位置付けることを目的としたものである。金鈴塚古墳は、
古墳時代後期を検討する基礎資料でありながら、発見や報告
の時期が早いため、資料の全貌は明らかにはなっていなかった。
古墳時代研究の基礎をなす重要資料には、こうした状況ある
にものが多い。近年では、兵庫県雲部車塚古墳や大阪府七観
古墳、奈良県五條猫塚古墳など、発見や報告の古い重要資料の
再整理報告が続いている。これらと同じく、現代的な視点で、
金鈴塚古墳出土資料と金鈴塚古墳を研究の基礎資料に新たに
位置付けることがこの事業の目的である。2020年には
大部3分冊からなる『金鈴塚古墳出土品再整理報告書』(本報告)
が刊行され、木更津市での事業は、その成果が公開されている。
歴博では、事業を推進するとともに、折に触れより広く一般に
向けた情報発信に取組んできた。本書の目的は、手に取りやすい、
より身近な形で、金鈴塚古墳とその出土資料の情報を発信する
ことにある。金鈴塚古墳出土資料は、奈良県藤ノ木古墳や、
群馬県綿貫観音山古墳など国宝に指定される重要資料と比較
されることもある。その壮麗さに目は奪われがちだが、
壮麗な品々は、「さいご」の前方後円墳に副葬された。
本書では、その壮麗な副葬品が終焉を迎える前方後円墳に副葬
されたことの意義を、さまざまな視点から照射してゆきたい。
そこに、古墳時代後期の社会とその終焉の歴史的意義が展望
されてくるように思う。※本書序文より抜粋
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【目次】
第1部 金鈴塚古墳の概要
金鈴塚古墳の墳丘・埋葬施設 稲葉昭智
1古墳の位置
2古墳群内の前方後円墳
3金鈴塚古墳周辺の石室および石棺等について
4金鈴塚古墳の石室・石棺について
5石材について
金鈴塚古墳の遺物 上野祥史
1装身具
2銅鏡
3装飾大刀
4その他の武器
5甲冑
6馬具
7工具類及び鉄釘・鉄鎹
8銅鋺
9須恵器
10土師器
第2部
「装い」とその機能・意義
古代の鈴と鈴飾りの歴史的意義 田中裕
1列島における鈴(すず)の特徴と多量出土
2金鈴塚古墳から出土した大量の鈴飾り
3鈴の造り方(鍛造の鈴の場合)
4鈴の系譜と変遷
5鈴の分布と鈴飾り
6金鈴のもつ唯一の存在感
7鈴飾りを纏った東国人
金銀装大刀からみた金鈴塚古墳の被葬者像 大谷晃二
1金銀装大刀の工房を復元する視点 技術の比較
2金鈴塚古墳の大刀は倭製品か舶載品か?
3金銀装大刀の工房の展開
4大刀から見た金鈴塚古墳被葬者の性格
武器の副葬と軍事編制 内山敏行
1古墳に副葬された武器の持つ意味
2Gateway機能と外生的な軍事編制
3鉄鏃の供給
4装飾大刀の多量副葬
5甲冑と追葬者,首長層の多人数埋葬
6軍事編制の視点から金鈴塚古墳の武器副葬を説明する
金鈴塚古墳出土馬具群の構成とそれらが意味するもの
宮代栄一
1馬具と馬装
2金鈴塚古墳出土馬具の組み合わせとその根拠
3金鈴塚古墳の4組の馬装
4金鈴塚古墳の馬具からわかること
5馬具の複数組埋葬が意味するもの
6出土位置が意味するもの
7馬装の階層とは
金糸と繊維製品 金鈴塚古墳出土品からみた当時の染色
技法・用途 沢田むつ代
1金糸
2円形座金具付金銅鈴付着の経錦
3織物小片付着の縁飾り
4麻布の使用例
第3部 儀礼具としての容器
土器からみた儀礼様式と金鈴塚古墳 藤野一之
1古墳時代の土器と機能
2横穴式石室出土土器の解釈
3横穴式石室内出土土器の参考事例
4金鈴塚古墳出土土器の特徴
5土器からみた金鈴塚古墳の葬送儀礼
金鈴塚古墳出土銅鋺と「伝金鈴塚出土銅鋺」の検討
舶載銅鋺から国産銅鋺へ 桃﨑祐輔
1金鈴塚古墳出土銅鋺
2「伝金鈴塚出土」銅鋺
3金鈴塚出土銅鋺群の型式学的位置づけ
4金鈴塚銅鋺・伝金鈴塚銅鋺の系譜
第4部 金鈴塚古墳を相対化する視点
金鈴塚古墳と古墳時代後期の社会 上野祥史
1金鈴塚古墳の築造と埋葬
2金鈴塚古墳の被葬者と埋葬プロセスの進行
3金鈴塚古墳の被葬者相互の関係
4鏡の分与と入手―地域社会での被葬者の位相―
5さいごの前方後円墳に埋葬が継続した意義
房総の後期前方後円墳からみた首長権と金鈴塚古墳 田中裕
1後期における前方後円墳数の増加
2房総における後期の前方後円墳
3東国における後期の前方後円墳と交流関係
まとめ 東国の古墳時代後期の独自性と相互扶助
古代国家形成期の王権と東国 仁藤敦史
1東国論の視角
2東国の国造
3ヤマト王権と東国
4馬来田国造の位置づけ
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