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書籍番号 81570
書  名 日中文明遺物の産地探索をめざす中近世沈船・舶載遺物の考古学と自然科学の融合研究
シリーズ [令和2~4年度科学費助成事業(基盤研究(C))
データ A4 165頁
ISBN/ISSN 978-4-86456-436-6
編著者 研究代表者・桃﨑祐 輔福岡大学人文学部考古学研究室編集
出版年 2023年3月 
出版者 福岡大学人文学部考古学研究室
価 格 1,870円(税込)

◆ご案内◆

令和4年3月5日(土)に九州国立博物館で開催されたシンポジウム
「アジアを変えた鉄」の予稿集を兼ねた本書は[令和2~4年度科学
費助成事業(基盤研究(C))『日中文明遺物の産地探索をめざす
中近世沈船・舶載遺物の考古学と自然科学の融合研究』(研究代
表者・桃﨑祐輔)」について、研究代表者の桃﨑が、分担者の承
諾を得て私費で増刷したものである。」(本書奥付より)
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●趣旨:琉球諸島・日本列島の発掘調査で発見されていた謎の鉄
  製品「棒状鉄製品」。近年、「宋元代の沈没船」が相次いで
  発見され、貿易のための航海中に沈んだこれらの船に日本出
  土品と同一形態・同一法量の棒状鉄製品(鉄条)が大量に積ま
  れていることが明らかとなり、本品がアジアをまたぐ交易品
  として売買されていたことが実証されました。加えて、東南
  アジアの研究では、宋元代と並行する13~15世紀に、東北タ
  イ・中部タイの在来鉄生産が衰退することが明らかにされて
  おり、中国産鉄の流通が周辺諸国の産業にも影響を与えてい
  る状況も浮き彫りになってきました。本シンポジウムでは、
  「宋元代沈没船に積載された大量の鉄素材」や「琉球諸島・
  日本列島で出土した棒状鉄製品」を手がかりに、東アジアの
  鉄流通の実態を探ります。日本列島の中近世の流通鉄素材は
  専ら「たたら製鉄」で生産され、「日本刀」の素材はすべて
  国産とみる定説も、アジア規模で流通する棒状鉄製品の存在
  が明らかになった今、新たな視点から検証していく必要があ
  るでしょう。また、宋元代と並行する日本列島では、古代よ
  り「大宰府鴻臚館」が担ってきた対外交易の役割が、東シナ
  海沿岸の「海商」へとダイナミックに移り変わる時代とも重
  なっており、各地域の社会変化も注視されます。上記のよう
  な複合的課題を明らかにするために、本シンポジウムでは考
  古学と自然科学の融合研究を試み、新たなアジア史の構築を
  目指します。
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             目  次
      
桃﨑祐輔「中世遺跡出土の棒状鉄素材は中国宋からの輸入鉄か
     -朝倉市才田遺跡・八重山出土品に注目して-」
                    ………………    1
小嶋篤・岡寺良「アジアを変えた鉄-八重山諸島における歴史
        時代の到来-」     …………………  25
小嶋 篤「棒状鉄製品の流通と鉄生産の変動」 ……………  41
石黒ひさ子「南海I号から発見された鉄資料-沈没船資料に見え
   る鉄素材-」            …………………  57
沼子千弥「生物を介する環境での鉄の動態」 ………………  77
市川慎太郎・佐藤かのん・栗崎敏「鉄製遺物の蛍光X線分析に
   おける錆の影響」   ……………………………………  84
市川慎太郎・明山未怜・栗崎敏
 「才田遺跡から出土した棒状鉄資料剥離片の蛍光X線分析」
                                           ……………  92
上野淳也「南蛮交易と金属の流通
     -海のシルクロードと戦国大名-」…………………… 101
古澤義久「高麗島伝説と西沙群島の水中遺跡」 …………… 113
内田昌太朗「唐津市呼子町内採集の中国産小壺について」  124
景山千裕「唐津市呼子町内海岸採集の中国産黒釉碗について」
                                         ……………… 128
大村紀征「古代~中世日本の鉄市場」 ……………………… 132
孟原召 「華光礁一号沈船と宋代南海貿易」 ……………… 141
丁見祥 「南澳I号-その位置・意味と時代-」  ………… 154