【内容簡介】
埴輪生産遺跡はどのような背景のもとにそこで営まれたのか。
古墳築造の一環として埴輪生産が行われたとき、それを支えた
地域基盤はどのようなものであったのか。
古墳築造と埴輪生産によって、各地域にはどのような変化が表
れたのか。
本書では、埴輪生産遺跡をキーワードに、古墳時代の地域社
会の在り方、さらには地域と王権との関係を考古学的分析により
明らかにすることを目的とする。畿内の埴輪生産のみならず須
恵器生産、須恵器と埴輪が同時生産された尾張との比較を通じ、
それぞれの特徴を描き出す。文献史学にみえる「土師氏」は埴輪
生産とどのような関係にあり、埴輪生産から「部民制」や「上番」
はどう読み解けるのか、その具体像に迫る。各地の埴輪生産遺跡
を検討の中心に据え、古墳への供給関係、周辺集落との関係、埴
輪生産から読み解く古墳時代の権力構造など、多角的な分析をも
とに埴輪生産の歴史的背景を解明する。巻末には、全国の埴輪生
産遺跡集成を収録。
古代学研究会2019年度拡大例会・シンポジウムをもとにした成
果報告書。
……………………………………………………………………………
目 次
序 ………………………………………………………森岡秀人
ⅰ
例 言 …………………………………………………………… V
第Ⅰ部 拡大例会・シンポジウム記録集
〈趣旨説明〉
地域社会の展開と手工業生産 …………………東影 悠
3
―埴輪生産遺跡と集落・古墳の対比から―
〈報告〉
古墳時代前期の埴輪生産関連遺跡と集落・古墳
………………金澤雄太
11
埴輪生産遺跡と集落からみる中期埴輪生産の実相
………原田昌浩
35
生産遺跡からみた後期の埴輪生産の実態 ……花熊祐基
57
―古墳・集落との比較を通じて―
須恵器生産と地域社会の展開 ………………中久保辰夫
77
埴輪生産遺跡、集落と地域社会 ………………早野浩二
97
―尾張とその周辺地域―
文字資料からみた埴輪生産・造墓の労働力と土師氏
……溝口優樹 117
〈シンポジウムの記録〉
シンポジウム討論
………………………作成:東影 悠 143
〈ミニシンポジウムの記録〉
ミニシンポジウム討論
…………………作成:山口等悟 161
第Ⅱ部 考察
古墳時代前期の埴輪生産関連遺跡と集落・古墳(追補)
…………………金澤雄太 191
埴輪生産遺跡と集落からみる中期埴輪生産の実相(補遺)
…………………原田昌浩 201
後期埴輪生産と地域社会 ………………………花熊祐基 209
古墳時代須恵器生産に関する研究の現状と課題
…………………中久保辰夫 219
尾張とその周辺地域における埴輪生産と地域社会(補論)
…………………早野浩二 229
文字資料からみた埴輪生産・造墓をめぐる諸問題
………溝口優樹 237
第Ⅲ部 誌上報告
集落研究と古墳研究 ……………………………森岡秀人 249
ヤマト王権と埴輪生産 ……………………………坂 靖 263
埴輪の生産体制論 ………………………………高橋克壽 273
埴輪生産の進展と王権 …………………………廣瀬 覚 289
埴輪生産と地域社会の動向 …………………和田一之輔 299
九州北部の古墳と集落 …………………………小嶋 篤 311
―八女古墳群の造営と「筑紫縦貫道」―
関東・東北の埴輪生産遺跡と供給圏 …………東影 悠 321
土師器生産と埴輪生産 …………………………三好 玄 329
-前期後葉の画期の評価―
第Ⅳ部 総括
埴輪生産からみた地域社会と王権
……………東影 悠・三好 玄 341
第Ⅴ部 埴輪生産関連遺跡集成 …………………………… 371
後 記 …………………………………………………… 384
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