82006.jpg 

 
書籍番号 82006
書  名 日本先史考古学の諸問題
シリーズ
データ B5 498頁(上製本)
ISBN/ISSN 978-4-86445-175-8
編 著 者 田中 英司著
出 版 年 2023年11月 
出 版 者 六一書房(発売)
価   格 8,800円(税込)


【内容簡介】

 半世紀にわたる著者の考古学研究から著された、モノに
則した考古学本来の手法による30余編の論考を選んで収録。
Ⅰ遺物論には縄文時代の石鏃製作やナイフ形石器の型式設定、
縄文前期の抉入尖頭器の認識とその意義から、石器文様論の
確立に至る新たな石器研究を提起した。また博物館収蔵の国
外資料についての分析と考察も行った。
Ⅱ遺跡・遺構論では発掘時の詳細な原位置観察に基づいた、
神子柴遺跡をはじめとするデポについての一連の論考、墓や
居住、石器製作の実態解明を具体的に提示した。
Ⅲ研究史では現代にいたる石器実測図の変遷を江戸期の石器
図にまで遡って、その意義と今後の方向性を定めた。また大
森貝墟碑建設に関する新たな発見史料を紹介するとともに、
モースの大森貝塚の位置に関して再考した。丹念な資料探査
で100年ぶりに見つかった鳴鹿山鹿の石器についても考察した。
Ⅳ時代論には日本先史時代への自己の年代観を表明するとと
もに、関連科学主導へと変質する考古学の現状に警鐘を鳴ら
した。最後に著者が属した発掘者談話会での日常的な随感も
収録した。いずれも著者独自の視点から生み出された「モノ
を究めたい」という多彩な論考の数々を網羅し、考古学本来
の分析の醍醐味や意義をあらためて喚起した。
………………………………………………………………………

 【目次】

岡本東三 田中英司さんのこと 山溜穿石

1 遺物論
 縄文時代における剥片石器の製作について
 武蔵野台地Ⅱb期前半の石器群と砂川期の設定について
 折断と縄文時代の剥片石器製作
 砂川型式期石器群の研究
 埼玉の石器と北海道の石器
 小岩井渡場遺跡出土の抉入尖頭器
 オーストラリア・アボリジニのガラス製槍先
 抉入意匠の石器文化
 土器のような石器
 アドミラルティ諸島のスーベニア
 抉入尖頭器の構成要素
 石器文様論
2 遺跡・遺構論
 石斧の出土状態と着柄
 神子柴遺跡におけるデポの認識
 住居・墓・アトリエ・デポ 土肥 孝氏の指摘に対して
 木葉形尖頭器のデポ 富士見市羽沢遺跡
 収蔵・複合デポ 神子柴遺跡
 縄文草創期の墓 器物の配置と撒布
 もうひとつの製作工程 泉福寺洞穴の細石器
 日本先史時代のデポ
 状態の原位置論
 斧のある場所
 デポの視点
 デポと交易
 縄文時代における黒曜石のデポ
 デポをめぐる問題
 摩滅痕をもつ尖頭器のデポ 西大宮バイパスNo.4遺跡の石器群
3 研究史  
 観察と記録 石器実測図の生成
 大森貝墟碑の建設 佐々木忠次郎から稲村坦元宛て書簡より
 新たに発見された鳴鹿山鹿の「献納石鏃」
4 時代論  
 先土器時代研究の動向
 岩宿の先土器・無土器・旧石器
 分かりやすさの代償
 斧の意義
 日本旧石器時代の実態 -旧石器時代を考える-
 『発掘者』の綴りより  
  原点にもどれるのか?/石器の一期一会/「原位置」をみつめて
  /不要不急
略歴・職歴・研究年譜  
 描き手と書き手 あとがきに代えて