【第33回 九州縄文研究会福岡大会 開催要項】より
趣 旨:第33回福岡大会では、後期の鐘崎式土器および併行期の
土器群を取り上げる。鐘崎式土器は、福岡県宗像市上八こうじょ
う(鐘崎)貝塚出土資料を標識とする土器型式で、九州を代表す
る磨消縄文土器として古くから注目されてきた。当該期をめぐっ
ては、集落の大規模化が始まるとともに、竪穴建物の構造や石器
組成など、中・四国地方以東からの影響が見られる段階にあたり、
九州縄文社会の変動期であることが知られている。
縄文社会の復元を進めるうえで、土器研究の深化は必須であり、
編年研究の精度を高めるだけではなく、地域性の抽出、併行関係
・系譜関係の整理など、取り組むべき課題は多い。こうした状況
を踏まえて、今回は当該期の一括性の高い資料をできる限り集成
し、鐘崎式併行期の地域性や地域間の関係、型式変化の方向性や
後続型式との繋がり、市来式に代表される在地土器型式との関連
性などを整理することで、鐘崎式土器研究の現在地を確認し、今
後の研究の方向性を探る契機としたい。
【目 次】
【記念講演】
縄文晩期農耕と縄文文化の終焉
宮本 一夫(九州大学名誉教授) ……………
1
【研究発表】
鐘崎式の構造と編年
小南 裕一(北九州市役所)……………………17
鹿児島県薩摩半島出土の市来式土器について
鮫島
えりな(鹿児島県教育庁文化財課)
前迫 亮一((公財)鹿児島県文化振興財団
上野原縄文の森)
……35
中国地方における小池原上層式・鐘崎式系土器の波及と地域間
交流 幡中
光輔(出雲市市民文化部)………………41
鐘崎式土器期の石器と遺構-薩摩半島地域を事例として-
板倉 有大(福岡市埋蔵文化財課)……………61
【紙上発表】
鐘崎式土器研究のこれまでと現在地
林 潤也(大野城市心のふるさと館)…………77
南四国の平城Ⅰ式/古池原上層式から鐘崎式にかけての様相
松本 安紀彦(高知県史編さん室)
……………87
【ポスター発表】
岡垣町榎坂貝塚出土の縄文後期中葉土器
永山 亮・井内 達也・古澤 義久・
小田 富士雄(福岡大学)…………………………99
黒橋貝塚の調査盛夏について
金田 一精(熊本市文化財課)
…………………102
大王遺跡発掘調査について
山中 俊樹(都城市文化財課)
…………………103
【九州・沖縄各県における当該土器型式期の資料集成】
福岡県における縄文時後期の小池原上層式~鐘崎式及び併行期
の土器群の様相
福永 将大(九州大学総合研究博物館) …………105
佐賀県における鐘崎式土器及び併行期土器群の様相
堤 英明(佐賀県文化課文化財保護・活用室)
…135
長崎県の様相
中尾 篤志(長崎県教育委員会) …………………141
大分県における鐘崎式土器出土遺跡の概要
横澤 慈(大分県立埋蔵文化財センター)…………155
熊本県における縄文時代後期の小池原上層式
~鐘崎式及び並行期の土器群(市来式)の様相
藤森 あきの(熊本県教育庁文化課)
……………193
宮崎県の動向
金丸 武司(宮崎市文化財課)………………………234
鹿児島県の動向 鮫島 えりな(鹿児島県教育庁文化財課)
前迫 亮一((公財)鹿児島県文化振興財団
上野原縄文の森)…………251
沖縄県における小池原上層式~鐘崎式及びその並行期の土器群
亀島 慎吾・奥平 大貴(沖繼県教育庁文化財課)、
金城 翼・大堀 皓平
(沖縄県立埋蔵文化財センター)……278
【2024年の動向】
各県の調査事例と報告書 ………………………………………292
【研究会の記録】
第32回九州縄文研究会大分大会の記録
九州縄文研究会大分大会事務局……298