【内容紹介】
古墳時代中期に日本列島にもたらされた札式甲冑は、構造の革新を
行いながら次第に数を増し、古墳時代後期には倭の甲冑の中核を担う
ようになる。札式甲冑は先行研究においても扱われてきた遺物ではあ
ったが、その構造や用途については不明な点が多かった。本書では特
に古墳時代中期の資料を中心として、札式甲冑の構造復元と用途の検
討に踏み込み、札式甲冑の導入から展開における過程を検討する。
また、本書では著者が近年取り組んでいる3Dデータからの資料比較
として、札式甲冑の導入・展開期に存在する同型鏡群・鈴付銅器を取
り上げ、再考を試みる。
【目次】
【目次】
序章 札式甲冑研究史と本書の目指すところ
第1部 古墳時代中期における札式甲冑の導入と展開
第1章 古墳時代中期における札甲の変遷
第2章 日本列島における導入期札甲の構造と副葬の背景
第3章 古墳時代中期における札式付属具の基礎的検討
第4章
倭への重装騎兵装備の導入―和歌山県大谷古墳の事例から
第5章
古墳時代中期における渡来系遺物の受容とその画期
第2部
古墳時代後期における甲冑の製作用途とその性格
第6章
裲襠式札甲を含む武装の解明とその意義 愛知県大須二子山
古墳出土甲冑セットと副葬状況に着目して
第7章 衝角付冑と札式付属具の連結過程
第8章
日本列島における朝鮮半島系札甲副葬古墳とその周辺
第9章 革札を用いた札甲の構造とその意義
第10章 古墳時代以後―飛鳥寺東大寺例にみる札甲の構造
第3部
札式甲冑の導入展開期における副葬品群の様相
第11章
同型鏡群の比較検討からみた副葬品の製作入手伝世
第12章 鈴付銅器の変遷と用途
終 章
日本列島における渡来系技術の受容とその背景
引用文献
挿図表写真出典
初出一覧